リアルな参加から学ぶこと
長引くコロナ禍で学校やPTA活動に大きな影響があり、それでも何か少しでも子どもたちのために出来ることはないかと模索する日々が続く中、令和4年度は日本PTA全国大会、関東ブロック大会、神奈川県PTA大会が、4年ぶりにそろって会場開催されました。オンラインだけではなくあえて手間をかけ対策を講じ、リアルに開催しようという熱気は、どこから生まれたのでしょうか。県P内の各ブロックや市町村郡PTAでも情報交換会や講演会、事例発表会など次々とリアルな参加機会が復活しています。その理由は、困難な今だからこそ、共感やヒントを懸命に探し求める気持ちが共有され、70年間受け継がれてきた活動の価値に改めて気付くことになったからではないでしょうか。企画会議で「やっぱりリアルにやりたいね」という声が自然に多く出てきた、これは長くPTAに携わってきた者にとってはものすごくうれしい瞬間でした。
毎年人が入れ替わる団体でこれほど活動を維持している例は他にありません。活動を通じて相互に学び合うことで常に地域へ人材を供給し続ける強力な社会教育システムを、公の強制や支配ではなく民主的・自律的に自らの会費と参加でボランタリーに支えている、任意団体だからこそ、全員の尊い参加と協力が欠かせません。こどもが「行ってきまーす」「ただいまー」と言って一人でも外出できる安全な社会を守り抜く、家庭・学校・地域・関係機関等の連携の要はPTAしかありません。県教委と県Pが締結した包括協定は、PTAが行政と対等に協力するパートナーであることの一つの証です。PTAが弱体化すれば不審者等を利するだけです。つながり、学ぶ場、皆が少しずつ役割を担うことで高めあう共助の精神など、大切なこと、何より「やってみてよかった』を是非伝えて欲しいと思います。
各家庭・学校や単位PTAではまだまだ厳しい状況が続いている所も多いと思いますが、同じように悩みながらも乗り越えつつある事例が近隣の学校や県Pの22市町村郡・413校・16万世帯、全国3万990校・850万世帯のどこかに必ずあるのではないでしょうか。「平時の親睦、有事の連帯」私たちが日頃から学校や地域でコミュニケーションを図り、さらに広域でつながる意味は大きいです。中止されているイベント等は、有事に地域社会を機能させる訓練や準備の側面も備えます。例えば災害時の共助の技術や共感力、世界が賞賛した秩序ある行動など。高度な仮想空間や便利な物流が発達するほど、子どもや保護者にとって地域でのリアルな体験はより一層貴重です。休日に子育て世帯が地域に参加することで、平日に子どもを見守る方々への理解にもつながります。忙しいからこそ、相互協力が欠かせず、長い目で見ると無駄なものはありません。省力化だけが正しいとは限らず、多くの会員に多様な参加機会を用意しましょう。経験上、成功する改革は、常に謙虚です。今は我慢ですが、工夫して継承・発展させていきましょう。子育ては期間限定、この機を逃さず、積極的に参加して欲しいと思います。皆様の尊い参加が、家庭・学校・地域・社会を着実に強くします。そのための下支えを、同じ保護者の目線と立場から、保険制度による補償や活動助成などを通じて、安全互助会としても全力でサポートしていきます。
令和5年2月24日
神奈川県PTA協議会安全互助会 理事長